MENU

2018.3.28

春のこと

春だ。桜の季節がやってきたと同時に花粉もピークを迎えている。地球は花粉の代わりにWi-Fiを飛ばして欲しいと切に願う。それかメーカーは花粉でネットに繋がるポールンフォン(P-phone)なる端末を開発して欲しい。春だけ使えるスマホがあっても良いではないか。期間限定で使えるディスポーザブルなスマホ。季節が決まってるからこそ一つひとつのチャットや会話も大切にするだろう。今思いつきで言った割には面白い。アイディアが盗まれるのが嫌なのでこの話は秘密にしていただけたらありがたい。

以前、いくらムズムズしても意固地に花粉症であると認めない友人がいた。彼の言い分は「花粉信じてないから」の一点張りだった。花粉を幽霊やUFOと同等に語る切り口に斬新さを感じ、ララランドの最初のシーンくらい感動したのを覚えている。

自分も花粉に毒されている人間の一人だ。酷い人ほど酷くはないが軽い人ほど軽くもない。花粉中級の自分は今年アレグラ無しでなんとか乗り切ろうとしているのだが流石に自転車で近所を一周したら目が痒くなった。一度目が痒くなるともう気になって仕方がない。この文章を書いている今も痒くて仕方ない。こんな状況でまともに長文なんて書けるはずなどない。この文章が面白くなかったとしても決して責め立てないで欲しい。全ては花粉が悪いのだ。目はかけばかくほど痒さに磨きがかかるシステムだ。「痒いからかく、かくから痒い。」歩道橋の下に横断幕として掲げてあっても良いくらいのパワースローガンだ。

しかし考えれば考えるほどおかしな話だ。だって、ただの花の粉だぞ?春になると花の粉に翻弄されている日本国民を宇宙人がみたらなんと滑稽なことか。現実はギャグ漫画以上にギャグだ。
私は宇宙人なぞ信じていない。花粉は信じている。

しかしながら花粉の終わりは桜の季節の終わりでもある。桜は綺麗なので寂しい気持ちも大きい。

今年もまた下らないことを考えながらうららかな春が過ぎてゆく。今から痒い目を擦りつつも夜桜を見に行ってくる。

文:タカノシンヤ/絵:峰らる