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2019.12.18

DLコード付き風船を飛ばして楽曲先行配信、しかもGPSで行末を追ってみた!

ボンジュール。タカノシンヤです。

 

SNSでは(特にTwitter)ギャーギャーわめき散らしていたので、全然久しぶり感はないのだが、このエッセイはかなり久しぶりの更新となってしまった。自分がエッセイを書いていたことすらうろ覚えだ。文体が「である」調であったことも先ほど思い出し慌てて全ての「ですます」をdeleteしたところだ。まだ消し忘れの「ですます」が残っていたら謝りたいです。

 

さて、もう今回は完全にタイトルの通りである。

我々Frascoは空に向かって、風船をリリースした。

 

 

え? 風船??

 

普通のアーティストはCDやレコードで曲をリリースすると思う(最近はデジタル配信が主流というのはさておき…)。

 

つまり、音楽を流通させるフォーマットは、割と決まっているのだ。

 

それはそれでいいんだが、、でもほら、もっとさ、なんていうの?

 

ワクワクしたいじゃない。

 

というわけで我々は風船で曲をリリースした。

 

どうやったかというと、15個ほどの風船にダウンロードコードを付けて空に放ち、しかもそのうちの一つにはGPSを付けて追いかけた。本気と書いてマジだ。

 

この企画を実施するにあたって「何やってんねん」、「マジで狂ってる」など各方面からお褒めの言葉をいただいた。

 

しかし、今までも(作りながら)2週間置きに10曲連続配信(シンバム『REM』)や、制作経験の無いメンバー(峰らる)がゲーム風視聴機をゼロから実装等、無理難題をやると言っては有言実行してきたのがTeam
Frascoだ。やったのだ。本気と書いてマジなのだ。

 

企画自体はおよそ半年前にチームのMTGでまとまり、その後ギリギリまで何度も話し合いや検証、予行演習等が行われ、当日を迎えた。なんて入念なのだ。

 

使用したのは浮気調査なんかにも使われる本格的なGPS。3万円以上もするこのGPSがまさか風船に付けて飛ばされる運命にあるとはメーカーさんも予想だにしなかったと思う。

 

前にタカノが購入した忘れ物防止用の3000円弱の代物ではGPSの効果が甘かった。峰らるの英断により直前で本格派GPSを購入し直したのだ。後に彼女の判断は正しかったと気づくことになる。

 

 

リリース当日、都内某所の電線等の無い空の開けた場所に我々はいた。

実行部隊はタカノ、峰らる、ナギー a.k.a. kentaro nagata、米村俊(yorocine)、SOTA SUZUKI(VJ)の5人。

 

ヘリウムガスで風船を膨らまし、DLコードを付けて空へ放つ。

 

 

「紐が絡まりまくる」、「近くを通った子どもにせがまれる」など幾千ものトラブルを乗り越え、ついに空へ!

 

 

すかさず走って追いかける。

 

 

風船は上空へ流されながらも北北東の方角へ。

 

ナギーは自転車で追いかけると言い残し、一瞬でその場から消えた

 

 

走り疲れた我々に峰らるが「とりあえずお茶しよう?お茶して整理しよう?」と提案。

 

近所のDOUTOUR COFFEEに一同入った。

 

グラミーノミネートアーティストも気になっている様子。

 

たまにGPSを見るが無反応。

 

 

 

ミルクレープなどを食べながら一同談笑していたところ、突然GPSが反応を示す。

 

 

 

場所は千葉県の見知らぬ土地を指し示していた。

 

風船は東京湾を越えたのだ。

 

興奮しながら、近くのレンタカー屋に駆け込み急遽車を借りることにした。

 

GPSを回収しに向かう途中で、友人のKEN KOBAYASHIからメッセージが届く。

 

「DJ KELLYの実家の裏らしい」

 

え?

 

飛ばした風船が偶然友達の実家の裏に落ちた。

 

そんな奇跡、あるの?

 

 

*KEN KOBAYASHI:元KERO KERO BONITOのメンバー。SKYTOPIAというプロジェクトをやっている、Frascoとも親交のあるアーティスト。Twitter | Instagram
*DJ KELLY:SKYTOPIA主催のイベント「#家onclouds」で知り合ったDJ。Frascoのことを気に入ってくれており今回の件に協力。Twitter | Instagram

 

 

首都高速を通り抜け、途中のサービスエリアでカレーや牛丼なんかを食べ、目的の場所にやってきた。

 

真っ暗だ。

 

 

KEN KOBAYASHIも駆けつけてくれて、DJ KELLYとも合流。

 

我々の到着を待っていてくれた上に懐中電灯まで持参してくれて、捜索にも協力してくれるとのこと。そんなこんなで風船の捜索は開始された。

 

なんて心優しい二人なんだ。前々から好きだったが二人のことが大好きになってしまった。どうする。

 

もう千葉県の方面には足を向けて眠れない。

 

GPSが示す場所がかなり深い森の奥。大量のオナモミ(a.k.a.ひっつき虫)がお洒落で有名な米村の高級ニット服に容赦なく襲いかかったり、峰らるのお気に入りのブーツが泥だらけになったりと、幾千もの障壁に行く手を阻まれながらも森の近くまでやってきた。

 

が、なかなか落下地点までは辿り着けず、しかも夜なのでめちゃ暗い。

 

これ以上は無理と断念してKELLYの実家に立ち寄らせてもらうことになった。

 

「Frascoさんがうちの実家に来るとかマジヤベェっす!」とのことだった。

 

結果、風船の回収までには至らなかったが、KELLY家で金麦と珈琲、お菓子をいただきホームパーティー的なことになり旅は終わった。なんでこうなった??

 

 

ぶっちゃけ2回しか会ったこと無いのに一緒に捜索してくれて実家に招いてくれたKELLY、時間があまりなかったのにも関わらずわざわざタクシーに乗ってまで駆けつけてくれたKEN君、SNSで盛り上げてくれた皆さま。本当にありがとう。感謝している。もう各方面に足を向けて眠れないので今後は眠らないことにした。

 

風船はどこかへ飛んでいったが、みんなの心は繋がった。そして、DJ KELLYの実家の神棚は立派だった。

 

このアドベンチャーをやるにあたり、恐ろしい出費だったが、「物より思い出、プライスレス」ということわざもあるし、良しとする。

 

※良いこは決して真似しないほうがいい。

 

翌週会社で同僚に「週末は何してたんですか?」と聞かれ「一日中風船を追いかけてました」と答えたら「お〜!ぶちかましてますね〜!」と訳の分からないリアクションをいただいた。ぶちかましたことに少しほっとした。

 

さあ、気付けば年末じゃないか。

 

今年は色々やったが、来年もまた面白い事をしていきたい。

 

と思ったが風船まで飛ばしてしまったので、ハードルがめちゃくちゃ上がってしまい困っている。

 

じゃ、良いお年を。

 

 

時系列の記録

企画会議

6月某日 (Team Frasco)

企画の方向が概ね決まる

  • 風船にQRコードとGPSを付けて飛ばす
  • GPS付きの風船を追う顛末をまとめ記事に起こす
  • 風船の数は大量には無理そうだからいっそ1〜2個で
  • 徒歩と自転車で追いかけて記録する

リサーチ2

(タカノ)

ネット情報を調べたりに協会に問い合わせる

  • 風船飛ばしの許可について
  • 日本バルーン協会について

結果:風船を飛ばしても良い事がわかる

調達1

(タカノ)

  • 風船
  • タコ糸
  • ヘリウムガス缶
  • 携帯のGPS機能を使うタイプの忘れ物タグ

予行演習

12月7日 雨後曇・南向の弱い風・極寒 (タカノ・峰)

実行場所下見と9inchの風船でテスト
実行は出来そうだがクオリティーの低さを痛感

  • 風船の浮力が思いの外弱く数グラムの差で浮かなくなる
  • 忘れ物タグは追跡用GPSとしての機能を満たさない
  • いい感じで飛んで行くが移動速度が早くて徒歩で追うのは無理

リサーチ2

(峰)

  • ヘリウム風船の浮力について
  • 追跡用小型GPS端末について
  • 風船用のヘリウムガスについて
  • 引くほど締まる紐の結び方について

企画変更

  • 風船の増量
  • 衛星を使うタイプのGPSで本格的に追う
  • GPSを付ける風船は18inch、付けない風船は9inch

調達2

(峰)

  • 18inch風船
  • 200ℓヘリウムガスボンベ
  • リアルタイム検知可能な小型GPS

仕込み

12月13日 (峰)

  • 風船に付ける紙のタグ作成

本番

12月14日 晴・北北東の強い風・やや寒 (タカノ・峰・米村・ソータ・ナギー)

11:30

ヘリウムボンベが届く

13:30

現地最寄駅のマクドナルドにナギー以外集合し事前打ち合わせ

14:45頃

実行場所到着

風上の開けた人の少なめな場所を探し、風船作り開始

各係(風船を膨らませる係/風船の口を結ぶ係/紐を取り付ける係/出来上がった風船を持っておく係/写真に記録する係)に自然に分かれて効率的に進める

15:00頃

ナギーがGPSを手掛かりに製作現場へ到着

15:15頃

計15個の風船が完成

15:30

風に煽られ風船の紐がもつれる

建物内に移動し集中して解く

15:45

風船飛ばし場所に移動

徐々に紐のもつれが再発

15:50

紐のもつれと解きのタイミングを見計らっていざ風船を空に放つ

風船は北北東に飛んでいく

ナギーは自転車で、ナギー以外は走って追う

走り部隊は100mくらい走って力尽きる

この時風船はわずかに目視できる程度

GPSに問い合わせるが検知できないとの表示

16:00頃

高度や移動速度が原因だと判断し、感知でき次第電車で追う事にしてドトールで休憩

ナギー帰還。自転車で追っていたけど無理だったとのこと。

今日中にGPSが反応する保証もなければ場所もわからないため、方角的に渋谷・原宿・新宿あたりに移動する?など雑談しつつ、風船を放った達成感で今日の仕事は終わった空気

16:50頃

何度問い合わせても繋がらなかったGPSに突然地図とポイントが表示される

しばらく待ってもある地点からポイントが動かない事が確定

17:10頃

レンタカーを借りてGPSの示す落下ポイント(千葉)へ向かう

17:50頃

ツイッターで速報を見た友人(SKYTOPIA KEN KOBAYASHI)から連絡があり、別の友人(DJ KELLY)の実家の近くだと判明

DJ KELLY「実家のすぐ近くです!しかも今日実家にいます!」とのこと

DJ KELLY 下見に行ってくれる、暗闇だとわかり懐中電灯などを実家から持参してくれることになる

19:35

千葉県在住の KEN KOBAYASHI もDJ KELLY 宅に集合したとの知らせ

二人と連絡を取り合いながら、現地の様子などを聞く

Team Frasco 一行は空腹のためサービスエリアの松屋でご飯

20:00

多部田町に到着、現地の二人と合流

地元民 DJ KELLY に案内されながら落下ポイントをおおよそ特定

落下ポイントは深めの森だと判明

オナモミのしげる草むらと農道を経てひとまず近づくが木々の密集具合と暗闇により森には入れない

別の角度から森への侵入を試みる

用水路付近のぬかるんだ土斜面を登り降りし、侵入地点に着くも入れない

また別の侵入地点に向かう

やはり侵入地点に着くも入れない上に何となく寒気がする場所で本能的に厳しい

21:00頃

泣く泣く断念する

21:15頃

実家でお茶でも飲んでってと、DJ KELLY の実家に招かれる

応接室でコーヒーとお菓子とビールをいただきながら今日の流れを振り返りつつ実家特有の空気に完全にくつろぐ

00:20頃

DJ KELLY 宅を出る

02:30

車の返却が朝の7時と決まっていたので、時間を潰しがてら軽く打ち上げをすることに

04:00

眠気が本気を出してきたので打ち上げを切り上げタカノが全員を車で送りつつ徐々に解散

 

記事内写真:Sota Suzuki(Team Frasco VJ)

文:タカノシンヤ/絵:峰らる